行動経済学から見るCOSTCO(コストコ) のマーケティング戦略

こんにちは、FunTre株式会社広報部の山本麻貴です。

皆さんは会員制大型倉庫型店舗のCOSTCO(コストコ)には行ったことはありますか?

私は自分では会員ではないのですが、友人が会員なのでたまに一緒に連れて行ってもらっています。

コストコはアメリカに本社を持つ会員制の大型倉庫型店舗です。
世界の11カ国に740店出店しており、世界の小売業界で2番目の売上高13兆円を誇るグローバル企業です。
日本では全国に26店舗あり、今後も出店を計画しています。

コストコに行って帰ってくると、「あれ?買いすぎちゃったなぁ・・・」とか、「よく考えたらこんなに必要なかったかも」と思ったりしませんか?

冷蔵庫がパンパンになるほどいろいろ買ってしまって、もうしばらく行かない!と決めても、またすぐに行きたくなってしまう中毒性がコストコにはありますよね。

スーパーというか、テーマパークのような感覚で、イベントとして定期的に通ってる方も多いと思います。

実はコストコには、消費者が何度も通ってつい買いすぎてしまう、「行動経済学」を使った集客戦略がたくさん仕掛られているのです。

今回は、先日テレビ東京系の番組「未来世紀ジパング」でも紹介された、行動経済学を使ったコストコマジックについてご紹介いたします。

行動経済学とは?


行動経済学とは、消費者の日常の経済行動に心理学をプラスして分析した研究手法です。

これまで人は、損をしたくない、得を選ぶなど、合理的に行動する生き物と言われていました。
2017年ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の権威、リチャード・セイラー教授によると、人は必ずしも合理的に行動するわけではないそうです。

「人は情報や感情に流されて行動する」

心理学を利用して人々に消費を促す研究を行動経済学といいます。

コストコに見る買わせる仕組み

コストコにはたくさんの心理学を使った買わせる仕組みが使われています。

・サンクコスト効果
・アンカリンク効果
・フロント商品が安い

・返報性の原理
・レシピを見せる
・空間を埋めたくなる心理
・極端回避性
・同じタイプの商品の種類が少ない
・季節ごとに商品の展示を変えている

1つづつ解説しますね。


・サンクコスト効果


コストコの一番の魅力は、会員制による入場制限があるところです。

入ってはいけないと言われると、余計に中に入ってみたくなりませんか?
一般の人は年間4,400円を払って会員になります。

一度会員になってしまうと、年会費分の元を取ろうと思って人は何度も通おうとします。
ちなみに会員1人につき、大人は2人まで会員じゃなくても入場することができます。

完全な会員制ではなく、知り合いも呼べることがまた、口コミ効果につながっていますね。


・アンカリンク効果



コストコに入るとまず高額の電化製品が並んでいます。
それから何故かジュエリーコーナーへ進みます。

中には1千万円を超えるような高額なジュエリーまで展示されています。

これは先に高額の商品を見せることによって、後から見る日用品や食品がとても安く感じる効果を利用しているのです。


・フロント商品が安い

コストコには大きなフードコートがあります。
コストコについてからまず、フードコートで腹ごしらえ、という方も多いのではないでしょうか?

このフードコートの看板メニューがとにかく安いです。
巨大なホットドックと飲み放題のドリンクバーがついてたったの180円なんです。

せっかく会員になったし、小腹がすいたからちょっとコストコに行こうかな?という来店の動機作りにもこのフードコートは役立っています。

・返報性の原理


コストコではたくさんの試食ブースがあります。
人は、何かを与えられるとお返しをしたくなる心理になります。

タダで試食したら買わないといけないような、買ってあげたいように気持ちになりませんか?

・レシピを見せる


コストコでは、販売している食材を使ったたくさんのレシピを公開しています。

レシピと完成された写真を見せられることで、人は頭の中でそれを作った自分を想像します。

想像してしまうと、実現したくなりますね。

・空間を埋めたくなる心理


コストコに行くと、びっくりするほど大きなカートを渡されます。

小さいカートやカゴはありません。

最初のうちは必要なものだけ買おうと思っていても、だんだん大きなカートを商品で埋めたくなってしまいます。

食べきれないほどの食材や、思わず大きなぬいぐるみを買ってしまうのは、空間を埋めたくなってしまう心理を見事に突かれていますね。

・極端回避性


人は極端に高いものは贅沢に感じ、安すぎるものは見栄もあり避ける傾向があります。

1つの商品を売りたい場合、値段の違う、「松竹梅」の3種類用意するといいと言われています。

そうすることによって、ほとんどの人がちょうどいいと感じる「竹」の商品を選びます。

・同じタイプの商品の種類が少ない


コストコを見ていると、商品の種類は膨大ですが、同じ種類の商品の数が少ないことに気がつきます。

例えばピザだったら3種類、オムツだったらパンパースとメリーズの2種類などです。

これは、人はたくさんの選択肢があると迷って選ぶことができなくなってしまうからです。

確かに、多すぎると選ぶことで頭を使い、結局買わなかったりしますよね。

・季節ごとに商品の展示を変えている


季節ごとに取り扱う商品と展示の仕方を変えているので、テーマパークのようなワクワク感が感じられます。


まとめ


今回は行動経済学を使ったコストコのマーケティング戦略について紹介させていただきました。
ついつい買ってしまう仕掛けがたくさんあって、カートがいつの間にか山盛りになってしまうのも納得できますね。

ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授は、これまでの経済学は、自分をコントロールできる、理性的な人間であることが前提とおっしゃっていました。

しかし人間は、完全に自分をコントロールすることは難しいです。
時には感情や情報に流されて行動する。それが人間らしさである気がします。

行動経済学は人間の本質を逆手に取った学問だといえますね。
今後も時折、このような心理学を使ったマーケティング事例を紹介していきたいと思います。